毎月第一日曜は、横浜自然観察の森でガイドウォーク「季節の森を歩こう」でガイドをしている。
この日のテーマは植物達の冬越し。冬芽やロゼットなど生き物たちの冬越しをメインテーマに、1時間ほど森を歩いた。
ミズキの冬芽は、ハンミョウの会では冬の観察素材のド定番となっている。
私がハンミョウの会に入会してすぐの頃、前々リーダーによるミズキの冬芽のインタープリテーションに衝撃を受けた。
新しいガイドメンバーにもその感動を味わってもらいたく、今回は前々リーダーにミズキを担当してもらった。
「季節の森を歩こう」における私たちの役割は、自然の生き物についての情報を伝えることではなく、参加者が観察をして感じた「なぜ」を自ら紐解いてもらう手助けをすることである。
冬芽はなぜついているのか?どんな役割があるのか?春にはどんな姿になっているのか?
そんな「?」を「!」に変えるために、参加者と一緒に考える。
これぞハンミョウの会のガイドといったインタープリテーションで、新メンバー達の心にも響いているようだった。
ここからは、いくつか冬芽のご紹介。
冬芽は植物の種類によって形が違っていて、なんだか人や動物の顔に見えてくる物も多い。
こちらはアジサイの冬芽。どんな顔に見えるだろうか。
アジサイ(ガクアジサイ)
アジサイ科アジサイ属
Hydrangea macrophylla
こちらはどんぐりでお馴染みのコナラの冬芽。
こんな風にふくらみが沢山ついている冬芽もある。
コナラ
ブナ科コナラ属
Quercus serrata
これはヤマグワの冬芽だが、帽子に何かくっついている。カイガラムシの仲間だろうか。
ヤマグワ
クワ科クワ属
Morus bombycis
これもイタヤカエデの冬芽だが、こちらにもカイガラムシがついている。
イタヤカエデの冬芽には、ミノムシかついていた。
ミノムシも、樹木の葉が落とされると観察がしやすくなるので、冬の観察素材としてレギュラー入りしている。
ミノガ科の蛾の幼虫を総称してミノムシと呼んでいるが、この仲間は日本に20種以上もいるそうだ。
中の幼虫本体が見えないと種類がわからなそうだが、くっつき方やミノの材料である程度の判別ができるようだ。
このミノムシは、ナナメにくっつき、枝や木片で作られている。おそらくチャミノガではないだろうか。
暖かい春を迎える頃、ミノムシが活動を始めるのが早いか、イタヤカエデの冬芽が綻びるのが早いか。
ミノムシが枝から振り落とされないといいのだが。
イタヤカエデ
ムクロジ科カエデ属
Acer mono
チャミノガ
チョウ目ミノガ科
Eumeta minuscula
冬芽を冬越しの隠れ蓑にする生き物は以外に多く、冬芽そっくりのイモムシや冬芽に産み付けられる卵もある。
冬芽の観察は、顔探し以外にもお楽しみがあるのだ。
森に足を運ばずとも、近所の公園でも十分楽しめるので、ぜひ試してほしい。
(写真は下見時に撮影したものも含まれる)